アルコール依存症とは

多量飲酒と節度ある適度な飲酒

 お酒は「百薬の長」とも「万病のもと」ともいわれています。適量の飲酒は健康によいといわれますが、多量の飲酒は心身に悪い影響を及ぼします。

 厚生労働省はアルコール依存症の発症リスクの少ない「節度ある適度な飲酒」は、純アルコール量で1日20g以下としています。

お酒の種類別の純アルコール量20gの目安は次のとおりです。

・ビール中瓶1本(500ml)
・日本酒1合(180ml)
・ウイスキー・ブランデーダブル1杯(60ml)
・ワイン2杯(200ml)

女性や高齢者の場合はこれよりも少なめに考えてください。

 節度ある適度な飲酒量の3倍以上になると「多量飲酒」となり、アルコール依存症になるリスクが高まると警告されています。

飲酒量の目安(純アルコール量)
節度ある適度な飲酒1日あたり20g程度
生活習慣病のリスクが高い飲酒1日あたり男性40g以上 女性20g以上
多量飲酒1日に平均60gを超える

 新潟県はお酒が文化・経済的に重要なものと位置付けられています。ともすると、お酒を飲むことに寛容な地域、環境と言えます。日本酒酒造場や酒屋店舗の数、清酒・ビール消費量は全国トップレベルです。それに比例して、アルコール性肝疾患に代表されるアルコール健康障害の人の割合が高いこと、社会的な問題として自殺率や飲酒運転事故率が高いことも問題視されています。

お酒に関するセルフチェック

 ふつうにお酒を飲んでいたつもりが、いつの間にかアルコールに依存していることがあります。
ご本人やご家族で飲酒状況をセルフチェックしてください。

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アルコール依存症

 アルコール依存症の問題はとても身近で、誰でもがかかる可能性のある心の病気です。

 もともとは健康な社会人として生活してきた人が、お酒を飲み続けることにより、飲酒が習慣化し、いつのまにか心をとらわれ(依存)ていきます。次第に人としての思いやりや誇りを失い、いつしか周囲の人から疎まれるようになります。自身の健康は勿論のこと、仕事や家庭までも失い、それでもまだお酒を断つことができない…つまり自己コントロール不能に陥った状態になるのです。一度依存症になると、普通の酒飲みに戻ることはできません。一旦断酒をしたとしても、再度飲酒すると元の依存症に戻ってしまう怖い病気なのです。
 しかし、断酒の継続により健全な生活に戻ることのできる治療可能な病気でもあります。ご本人の断酒への強い意志と家族等の周囲のサポートの中で、専門的治療を受けていただくことが大切です。アルコール依存症の治療は、外来では精神療法と薬物療法、入院においてはリハビリプログラムを中心に進めていくことになります。
 厚生労働省によると、アルコール依存症の疑いのある人は全国で約440万人、治療が必要な人は約80万人、そして治療を行っている人は約4万人となっており、医療機関を受診していない患者が非常に多い状況です。国においては、アルコール依存症は本人の健康問題だけでなく、その家族への深刻な影響や重大な社会問題を生じさせる危険性が高いとして、2014年にアルコール健康障害対策基本法、2016年にそれに基づく基本計画が策定されました。新潟県においても2019年に新潟県アルコール健康障害対策推進計画が策定され、総合的かつ計画的にアルコール健康障害対策が推進されているところです。

アルコール依存症のサイン・症状
アルコールへの精神的依存
 ストレスや不眠を解消するために飲酒し、アルコールに依存し、強い飲酒欲求とそれに基づくコントロールできない飲酒に陥ってしまいます。
いつでも飲みたくなる、飲み始めるとつい多く飲んでしまう、いつでも手元にお酒がないと落ち着かない、数時間ごとに連続して飲酒する等の症状が出てきます。
アルコールへの身体的依存
 アルコールがいつも体内にある状態が続くと、脳はそれが普通の状態だと認識し、アルコールが抜けてくると、次のような様々な不快な離脱症状(禁断症状)が出ます。
手のふるえ、多量の発汗、脈が早くなる、高血圧、吐き気、イライラ、不安感、うつ状態、幻聴、幻覚
それらの離脱症状を抑えるために、また飲酒してしまいます。
身体へのダメージ
 肝炎や脂肪肝、膵炎などの疾患や、生活習慣病、果ては消化器系のがんなどの背景にアルコール依存症があるともいわれています。世界保健機関は、アルコール依存症は60以上もの病気や外傷の原因になると指摘しています。
こころへのダメージ
 うつ病、不安障害、パニック障害などの背景にアルコール依存症がある場合があります。
この中でも特に「連続飲酒」と「離脱症状」はアルコール依存症の典型的な症状です。
プレアルコホリズム
 連続飲酒、離脱症状は出てはいないが、お酒が好きで体調を崩していてもやめられない人、いけないと思っても飲酒運転して事故をおこしたり、自分や人を傷つけたりといった問題をおこしている人などは、プレアルコホリズムが疑われます。

お問い合わせ・ご相談窓口

河渡病院 相談室(医療福祉課) 025-274-8211(代)
受付は平日の9:30~16:30

お酒の問題でお悩みの方に対して、精神保健福祉士がご本人だけでなくご家族や関係機関からのご相談に応じておりますので、当院の相談室にお気軽にご連絡ください。

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