女性・高齢者のアルコール依存症

女性のアルコール依存症について

 女性のアルコール依存症が急速に増加しています。「アルコール依存症は男性に多い病気」と思われがちですが、最近の調査では女性のアルコール依存症の増加率が男性を上回っています。それは女性の体質的な特徴や女性を取り巻く社会環境の変化に伴うストレス等が原因と言われています。

身体的な要因

 女性は一般に体脂肪が多く、アルコールは水より油に溶けにくい性質があるため体内に浸透しにくく、血中のアルコール濃度が上がりやすい傾向があります。さらに、女性ホルモンはアルコールの分解を妨げることも指摘されています。このような女性の身体のしくみから、男性よりも依存症に陥りやすい傾向があると言われています。

精神的な要因

 女性は失恋や夫との不仲、姑問題、熟年になると夫の退職や離別、子供の自立、仕事や人間関係の行き詰まりなど、喪失感や不安をきっかけに飲酒にのめり込むことが多いとも言われています。飲み方も男性のように外で飲むよりは、家の中で家族にも隠れて一人で飲酒することが多い傾向があります。これも、依存症を発見しにくく、また悪化しやすい原因のひとつではないかと言われています。

女性のための治療プログラムについて

 アルコール依存症の治療は年齢性別を問わず「アルコール依存症リハビリテーションプログラム」に組み込まれている「集団精神療法」が中心となります。集団精神療法とは、「集団による力動」つまり相互作用を用いた治療法です。グループでアルコールの問題について話し合い、同じ悩みを持つ患者さん同士が率直に意見を交換して、「悩んでいるのは自分だけではない」と共感し、自分自身について理解を深め、断酒の動機づけと継続に結び付けていくことを目的としています。

 女性においては、アルコールの問題の背景に女性特有の問題、悩みが複雑に絡み合っているケースが多くみられます。男性と同じ場ではそれを話しにくく、問題の本質を掘り下げることが難しいのです。そのため当院では通常のプログラムのほかに、女性スタッフ(臨床心理士、看護師)と女性患者さんによる「女性グループミーティング」を開催しています。女性同士が安心して自由に話し合える環境を提供することにより、感情や退院を前にした思いを共有することが可能になります。同じ病気を持つ女性同士が経験を分かち合い、共に回復を目指しています。

高齢者のアルコール依存症について

高齢者はアルコール依存症になりやすい

 人口の中で高齢者の割合が高くなるにしたがって、アルコール依存症患者の中でも高齢者の割合が増加しています。
 高齢者がアルコール依存症になる理由として特によく見られるのが、定年退職を機に飲酒量が増えたという例です。若年者のアルコール依存症発症における飲酒問題のきっかけと比較すると、高齢者では自由な時間の増えたことがきっかけとなっていることが多いことがわかっています。また、家族との死別、生きがいの喪失、孤独感など高齢者特有の心理が飲酒問題の原因となることもよく見られます。

 高齢者は、若年者と比べて体内の水分の占める割合が低く、同量の飲酒でアルコール血中濃度が増加しやすいため、少量の飲酒でも飲酒の影響を受けやすくなります。また、血中濃度が同じでも、中枢神経のアルコール感受性が増加することにより、アルコールの鎮静作用や運動系への作用が強調され、少量の飲酒であっても、酩酊、転倒などの問題を起こしやすくなります。
 また、高齢者のアルコール依存症では、認知症を合併する頻度が高くなります。認知症の原因は認知症性疾患の合併など様々ですが、長年のアルコール使用により脳がダメージを受け、脳萎縮が進行することが関係していると思われます。

 高齢者はアルコールによる身体機能へのダメージを受けやすく、また、事故などのリスクも高くなります。周りの方が気付いて、早期発見、早期受診により適切な治療につなげていくことが必要になります。

お問い合わせ・ご相談窓口

河渡病院 相談室(医療福祉課) 025-274-8211(代)
受付は平日の9:00~16:30

お酒の問題でお悩みの方に対して、精神保健福祉士がご本人だけでなくご家族や関係機関からのご相談に応じておりますので、当院の相談室にお気軽にご連絡ください。

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